三陸ボランティアダイバーズ代表のクマちゃんとダイビングチーム海侍の池田夫妻が以前タイで働いていた時のダイバー仲間であったという事もあり以前から少しでも活動のお手伝いをしに行きたいと考えていた。
そして、今回駆けつける一番のきっかけが、同じく海侍のゆかりちゃんがバイトしていた東京の焼き鳥屋さんでの同僚、浦島(太郎)さんを紹介してもらった事が大きい。
太郎さんのご実家は大船渡市の漁仲買業をされており、太郎さんご自身も震災後地元の漁業復興のお手伝いをされるため岩手に戻る事を決意、その後海侍の紹介で現在三陸ボランティアダイバーズにて住み込みで活動されています。
そんな太郎さんは最近ダイビングをはじめ、地元の海の清掃活動をされています。
不思議な海の繋がりが強い絆をうみ、一歩ずつ震災前の奇麗な海に戻す力になっている事を知り、今回三陸を訪れた経緯となったわけであります。
三陸ボランティアダイバーズ拠点”クマハウス”前にて |
震災後、初めて訪れた陸前高田および大船渡の街は正直、目を覆いたくなるような状況でした。
かつてどこまでが海で、どこまでが街だったのか、地元出身の太郎さんでもわからない場所が多いとのこと。
しかし、震災から8ヶ月経った今でも街中には多くのボランティアたちの姿があり、前向きな言葉と笑顔に溢れ一歩ずつ復興に向けて街が動き始めていました。
大船渡市甫嶺の漁港に山積する瓦礫 |
到着してすぐに被災地の海の中へ潜ると、意外という言葉は不向きかもしれないが、透明度が抜群に良く、イワシの群れ、チャガラ等のハゼや北の海の珍しいカジカの仲間に迎えらた。
しかしそこには震災の爪痕である瓦礫や巨大な堤防が静かに横たわっている。
この瓦礫をひとつひとつロープに括り陸にあげる作業が毎日のように続けられている。
体重130キロのクマちゃんの体も小さく見える巨木にロープを括る |
日々果てしなく続けられる瓦礫撤去作業だが、ひとつ瓦礫をあげればひとつ奇麗な海に戻るという事を考えればこの作業は楽しくもあるのだという事を教えられた。
一度掴んだ瓦礫は諦めずに必ずあげるのだというクマちゃんの言葉通り、絶対に無理だと思われた巨木の撤去も重機を使って確実におこなっていく。
水温は15 度だが、ウエットスーツでも汗をかくほどの忙しい撤去作業の中、瓦礫の中から珍しい生き物が飛び出してきた。北の海でしか見る事の出来ないイソバテングの愛くるしい姿に心が和む。
瓦礫の中から飛び出したイソバテング |
冬のこの時期大船渡を流れる川にはサケが遡上し産卵場所を求めてやってくる。
故郷の川の匂いは震災後確実に変わってしまったが、それでも必死に戻ろうとする強い意志が彼らを産まれた場所に導くのだろうか。
三陸ボランティアダイバーズではサケが帰る川を塞き止めていた瓦礫を撤去する活動もおこなっている。
傷だらけになりながら川を必死に昇るサケの姿に心打たれる |
決して諦めず命を次世代に繋ごうとするサケの力強い眼差しに東北人の姿が重なった。
なんだろう、命って、どうしてそこまでして子孫を残そうとするのだろう。
どうしてそこまでして、瓦礫の山積した海に川に向かうのだろう。
おそらく、彼らに出会うまではそのようなくだらない疑問にすら答えを探してしまっていたかもしれない。
前向きに生きるという事に理由なんて無いのかもしれない。
立ち向かう事に無駄なんて無いという事と同じように。
そんな事を考えている前に、必死に生きる彼らの姿を知ってほしい。
三陸ボランティアダイバーズのホームページはこちら